高速道で宙ぶらりんのまま九死に一生を得た観光バスの運転手さん、福本さんは、インタビューでこう答えている。
「落ちた! と思ったとき、対向車線から走ってきた車がすーっと下に落ちていくのが見えたんです。でも、こっちは落ちなかった。あれっ、助かった。引っかかったんだ、と思いました。運がよかった……」
人はこのような奇跡的な出来事に対して、「運がよかった」という表現をよく使う。それ以外、説明のしようがないのが正直なところなのだ。
だが、運命というものは実際に存在するのであろうか。あるとすれば、いったい何がこの運命を決定していくのだろうか。
いにしえより人間の永遠のテーマとなっている、人間の「生と死」、そして「運命」──どうやら、その答えを人類のすべてが知る時期が来ているようだ。
そもそも、あなたはなぜこの世に生まれてきたのか。だれも「自分がなにも好き好んで生まれてきたわけではない」と思っている。なんらかの力があなたをこの世に誕生させたことは、だれしもが認めるところであろう。
そして、「死」。死にたくないとどうあがこうと、死は必ずやってくる。また、もう死にたいと願っても、心臓は自分の意志では止めることはできない。毎日多くの人間が誕生し、死を迎える。この生と死、つまり人間の一生の始まりと終わりは、われわれの意志でどうにでもなるものではない。
つまり、生と死は、人間の意志をはるかに超えた次元で決定されているのだ。いや、これは人間にかぎらない。自分で好き勝手に生まれて、好き勝手に死ぬような生き物はこの地球上には存在しない。この世のすべての生命は、大自然の、いや宇宙という大きな枠の中で「生かされている」存在なのである。
つまり、あなたを生かしめているとてつもなく大きな存在、いや力といってもいいが、それが存在するのはまぎれもない事実なのである。
その力を受けて、人間の心臓は動きつづける。もし、その力がその人間にはたらかなくなったなら、心臓は止まり、もはや生き延びることはできない。
この不可視の力に人々は