これから挙げるのは、たまたま現地から離れ、命びろいをした人の体験談である。前にも述べた、災難を避けるいちばんの方法は、「その場にいない自分であること」なのだ。
これも運だとか偶然ではなく、やはり災難を引き寄せない自分になっていることが大切なのである。
◆帰ってみたら、アパートは倒壊、その場にいず命をながらえた
(神戸市東灘区 斉藤和弘さん=仮名 執筆当時・27歳)
私は神戸市内でアパートを借り、神戸市内の会社に勤めている者です。
ちょうど地震が起きたその日は、私は大阪にある婚約者の実家にいました。それも、彼女のご両親に招かれて泊まったのですが、大きく揺れはしたものの、大した被害は受けずにすみました。
ところが、私の住んでいたアパートは、地震の直撃を受け、倒壊していたのです。帰ってみて、無残に傾いて倒れているアパートを見て、愕然としました。そして、このアパートから死傷者が相当出たということも聞きました。
私が助かったのは、彼女のおかげだとつくづく思いました。
彼女とは同じ職場で知りあったのですが、彼女の底ぬけの明るさにひかれるものがあり、いつのまにか交際が始まっていました。彼女は、以前はいつもちょっとしたことで考え悩む内気な性格だったということです。いまの様子からして、まったく信じられなかったのですが、なんでも福永先生のご指導を受け、アタマを取ってから、性格が一八〇度変わって、前向きに明るくなったのだといいます。
私にはなんのことやらわからず、彼女から勧められるまま、先生の本を読んでみました。そこにはアタマを取ることなど書かれており、これのことかと納得がいきました。そして、彼女に後押しされたようなかっこうで、アタマを取る指導を受けたのがつい3か月ほど前のことでした。
そして、その後、私たちのことをお互いの両親がとても喜んでくれ、結婚の準備が着々と進んでいた矢先の出来事だったのです。
なんとも運命の不思議を感じてなりません。これも目に見えない力が私たちにはたらいているからだとつくづく思っています。
──なぜ斉藤君は、彼のアパートから離れていなければならなかったのか。彼の場合、マイナスの波動が強いアパートにいたため、アパートは倒壊してしまったのである。それはアパートに住む住民の総体的なパワーであるからなんとも避けようがなかった。それで、アタマを取ってプラスを刻んでいた彼は、いったんその場に居合わせない必要があったのである。
それも、マイナスはマイナスの、プラスはプラスの波動を引き寄せるのであるから、強いマイナスを発している倒壊寸前のアパートの波動と斉藤君のプラスの波動が反発した証拠でもある。
人の出会いは、偶然のようでいて、そうではない。生きざま、言い換えれば波動の似たものどうしが磁石のように引きあってしまうのだ。
だから、愚痴ばかりの人は愚痴っぱい人と、楽天的な人は楽天的な人と不思議と出会って意気投合する。いくら自分は嫌だといっても、自分の生きざまが招き寄せることであるから、結局のところ、出会った相手は、自分の鏡なのである。その点を十分理解してもらいたい。
災難もそうだ。マイナスの波動を発していれば、やはり事故や災難に遭いやすくなる。そして、そのマイナスの波動が強く共鳴したときに、大きなエネルギーとなって自然界ではたらくのだ。それが地震であり、火山噴火であり、台風であるのだ。自然界のすべての事象は、目に見えない波動エネルギーの作用でつくりあげられていくものだ。