◇第2章 生き残るのは奇跡ではない
《悪しき生きざまが天災を招く》

天災といえども原因がある

ならば、私たちは、次なる天災の犠牲になることを、じっと手をこまねいて待っているだけなのか。

いや、そうではない。もう一度前章で述べたことを思い返してもらいたい。

この世のすべての事象は、原因があって結果があるという「原因と結果の法則」による、と述べた。そうなのだ。天災といえども、必ずそれが起こる原因は存在しているのである。ならば、その発生原因とはなんであろうか。

一例として、ポンペイに話を戻そう。

現在(本書初版当時)、火山灰に覆われたポンペイの発掘作業は、全体の5分の4まで進んでいるという。その結果、ポンペイの人は、昼間から酒を飲んでは遊び暮らす生活をつづけていたことがわかってきた。

そのためか、そうした生きざまを正そうと、大自然は必死で警告のメッセージを送っていた様子がある。

西暦62年にも、ナポリ湾一帯に強い地震が起き、ポンペイの町はかなり破壊された。その2年後の64年には、ベスビオス山の一部にひび割れが発生し、有毒ガスが噴き出し、山腹で放牧中の羊が600頭もバタバタと倒れて死んだという記録が残っている。

ところが、ポンペイの人々の欲求はとどまるところを知らず、そのたびに、以前よりもさらに豪奢(ごうしゃ)な生活を欲するようになっていったのである。ポンペイのその最後は、遊興におぼれて身を滅ぼした巨大なローマ帝国を見事に象徴しているのである。