◇終章 いまならまだ間に合う
《人類は地球のがん細胞に!?》

地球は人間だけのものではない

先に、天変地異は地球の自浄作用だと述べた。

地球は1千万種もの生命をかかえたひとつの「生命体」である。そのおびただしい地上の生命たちは、互いに円環をえがくようにして密接に関連しあい、大生命である地球の生命活動の一部を担っている。

これは、まるで私たちの体の構造と同じである。私たちの体は、一つひとつの細胞から構成されている。それらの細胞がいきいきとした働きをしながら絶妙なバランスを取りあってこそ、私たちの肉体は「全体」として機能するのである。

この各細胞にあたる地上の生命たちのバランスが崩れたとき、地球も人体と同じように病む。病んだ地球が行う自己修復……つまり自己治癒のはたらきが、すなわち、地変や海流の異変、大気の異変などの「天変地異」である。

つまり、地球は自分の上にあらわれてきた不調和を回復するために、自己浄化を行うのだ。その浄化のターゲットが、自然破壊の張本人である人類に向けられていることはいうまでもないだろう。

地上のどの生き物も、他の種を支えながら生きているというのに、われわれ人類だけが自分のために他の種を死に追いやっている。このような人類を、「がん細胞」とたとえてみるとどうだろうか。もし人類が悪性の腫瘍と化したのであれば、地球がそれを取りのぞこうとしても不思議ではない。それは地球の自己浄化作用となるのだ。

……私たち人類によって破壊されていく地球の悲鳴が、私には聞こえる。

地球は、人類だけのものではないのだ。1千万種もの生命が生きていく大切な場であるのだ。それを人間のエゴで破壊していいはずがない。

人間がこのまま自然の破壊者としての生きざまをしているかぎり、いずれは自然淘汰されるであろうことは容易に想像できる。そうでもしないかぎりは、もはや地球は修復不可能となり、すべての種は死に絶えるばかりか、宇宙全体のバランスまで崩すことになるのである。