◇終章 いまならまだ間に合う
《人類は地球のがん細胞に!?》

人類は恐竜のたどった道を歩むのか

西暦1600年以降、ヨーロッパの人々は、新天地を求めて船で旅立ち、地球上のあらゆるところに踏みこんでいった。この「大航海時代」以降、生物の絶滅が加速されていった。

その後、わずか400年足らずの間に、88種のほ乳類と、109種の鳥類が絶滅してしまったのである。もちろんこの数字は、人間が確認しえたものだけの数であって、実際には、われわれが気づいていないところで、この何倍の種類の動物が人間の文明によって死滅させられているかわからないのである。

さらに、これに昆虫や植物まで加えると、絶滅した種の数は相当数にのぼるはずである。

その理由ははっきりしている。高価な毛皮や牙を手に入れるため、また、狩りを楽しむために、つまり人間が自分たちの快楽のために、無差別に動物を殺していったのだ。

アメリカの生物学者ノーマン・マイヤースは、「今世紀中には一日100種の割合で絶滅していく」(本書初版当時)と予想している。

そして文明の発達にともなう地球環境の変化が、動植物の生息を困難にしている。しかし、それは、人間自身にもいえることだ。動物たちも住めない環境に人間だけが住めるわけはないのだ。

もはや、人間は6千5百万年前に突然のごとく絶滅した恐竜と同じ結末に行きつくのであろうか。いや、人間だけが滅びることはありえない。このままいけば、あらゆる動植物が死に絶えてしまうことになるかもしれない。